〇ギブソンL-00 ネック折れ2回目

2018年に補強を入れて修理したものがまたやってきました。3年で再発。腕が悪いとか思わないでくださいね。理由はあるものです。

折れたというか、クラックが入ってきたという感じ。

塗装を剥いでみました。前回画像と比べたところ、違う部分でした。補強の下から新たに割れたようです。
このギターはネックに少し問題がありますね・・・違う個体でも同じような修理を数本やっています。

新たな補強を入れるべく削ったところ深さ2mmぐらいでトラスロッドの一部が出てきました、薄っ!

こんな感じで削ったのです。ロッドの座金というか・・・支点部というか・・・の部分も削ったのです。ちなみにこのロッドのキャップ六角ナットは固定タイプなので外せません。
よく見てください・・・ロッドナット部の掘り込み、そしてネックの厚み、幅・・・そう、最初から木部がすごく少ないのです。これではちょっと倒せばネック折れますね。

埋木を作っています。ロッドナットの掘り込み部を削ってます。

接着中。

余計な部分をカットして形を作りました。最初からこのような補強をしろ?いいですけど、金額全然違いますよ。
当店の場合、ベーシックな2本補強が基本ですが、金額の面も含めて打ち合わせにより修理方法を決めています。
もちろん、リスク等も事前に説明しているので2度目であってもクレームはありません。
ちなみに2度目折れたのは開業14年で4本と記憶しています。よくよく考えるとそれなりに理由はあったのです。雑な仕事をしたわけではないんですよ。

塗装しました。どこから見てもわかりません。但し、経年で接合部の塗装は沈んでくるのでいずれわかります。その時気になるようであればまたそれを隠す処理もできます。

現在2024年問題はないようです。でもこのギターは倒せばまた折れるかもしれません。

ロッドキャップの下は大きいザグリがもともとあります。このネックの厚みと幅40mm・・・木部が少なくて強度が足りないのです。深胴で音量は大きくていいんですけどね、そういえばトップ板も薄いんです。なので腹が出やすく変形が多いのもこのギターの特徴かもしれません。何度も言いますが音はいいんですがね・・・音と強度・・・せめぎあうわけで・・・アコギの命題。